「開業準備のために開業日前に支払ったものも経費とすることができます」と前回にお話ししました。
厳密にいうと、開業費は“繰延資産”という資産の科目に分類されます。
どういうことかというと・・・。
“繰延資産”とは、個人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶもので次に掲げるもの(資産の取得に要した金額とされるべき費用及び前払費用を除く。)である。
こう定義されています。
簡単に言うと・・・。
「既に支払いは終わっているけれども、その影響は開業年だけではないから少しずつ経費にしましょう」
という考え方をします。
将来の収益に貢献すると考えられるので、いったん資産としたうえで複数の年にわたり処理をします。
これにより適正な収支計算をすることができるというものです。
さて、肝心の具体的な処理方法に話を移します。
処理方法は、いずれかの方法により行います。
① 60か月の均等償却
② 任意償却
①は、むこう5年間で同じ額づつ償却して経費化します。
②は、任意の年に償却して経費化します。
つまり・・・
「開業した年に全額償却してもよく、全く償却しなくてもよい」
と解されています。
結果的に、税務上は一気に全額償却=経費にすることが認められているのです。
仮に、むこう5年間まったく任意償却しない=経費としていない場合でも、期限切れになって経費に算入できなくなるという特段の規定はありません。
このように国税庁の質疑応答事例でも明記されています。
いつでも好きな年に償却費として経費化することが可能である
そしてなんと
この任意償却を利用して節税が可能になるのです。
次回は具体的な節税方法についてお話しします。