前回の記事からの続きです。
「争族」が近年増加しているということをお伝えしました。
では、大事な家族を「争族」から守るためにどうしたらいいのでしょうか。
今回は「争族」を防ぐために生前からできる対策をご紹介しようと思います。
最も王道なのは遺言書の作成です。
遺言書とは、自分の死後に残された家族へ想いを伝える手紙です
・財産を誰に継がせるか
・だれが遺言書の支持を実行させるか
といった法的効力があるものや、
・今後家族仲良く暮らしてほしい
・今後こういうことを心がけてほしい
といった法的効力がないものを書き綴ることができるものです。
1.財産の行先を決めることによって、相続人同士の争いを防ぐことができる
2.財産を残すことで、特定の人の将来の生活を守ることができる
3.煩雑な相続手続きをスムーズにおこなうことができる
このメリットの中で最も重要なのが1番目の項目です。
相続が発生し財産の分配を決める際に、法律の決まりよりも遺言書に記載された内容が優先されます。
仮に遺言書がないと、相続人全員の話し合いにより財産の分配を決めなければなりません。
これを遺産分割協議といいますが、この遺産分割協議が「争族」の火種となるのです。
前回の記事で述べたように、相続人にはそれぞれの立場があります。
それぞれの立場から、相反する主張が出てくるでしょう。
例えば財産が現預金だけであれば折り合いをつけて解決するかもしれません。
そこに現預金がほとんどなくて、家や土地がある場合はどうでしょうか。
簡単に現金化できない財産ばかりだと様々な問題が生じます。
・誰が家や土地の管理をするのか
・売却する時に値下がりしていたら
・納税資金はどうするのか
法律に基づく分配を行うにしても不平等さが生じるでしょう。
このような問題を防ぎ、財産の分配を円滑にする方法が遺言書の作成です。
遺言書を作成すると
「誰が」「どの財産を」「どれだけ取得するか」
を事前に決めておくことができます。
この遺言書に書かれた内容が法的に優先されます。
(ただし遺留分という相続人の最低限の権利を保障する制度があります)
そのため遺言書があればもめる可能性も大幅に減るでしょう。
自分の考えや想いを記した遺言書を作成することは、大切な家族にできる最後の仕事かもしれません。
次回はこの「遺言書」についてもう少し具体的にご紹介しようと思います。